ねこかにクラブのげんざい

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YouTubeチャンネルに動画を投稿して半年が経ちました。僭越ながらハーフアニバーサリーを祝して応援メッセージを募ったりもしているのですが(お送りくださったみなさま本当にありがとうございます)、ここでねこかにクラブの名前の由来について一度テキストにしてみようと思います。ちなみにそこまで大した話ではないので、読み飛ばしていただいて大丈夫です。

ねこかにクラブの名称は「ねこ(cat)」「かに(crab)」「クラブ(club)」の3つの語を並べたもので、配信の初回でもお伝えした通り、dashimaru(旧名義)時代に書いたゲーム記事が発祥の元になっています。

右も左も分からない状態でゲームライターとして働き始めた当時は、とにかく記事をバズらせる方法を必死に考えて「どのような発信をすれば拡散されるか」を試行錯誤しながら模索していました。それがメディアにおいて求められる大きな指標であることは間違いないのですが、ただ自分は過剰に適応しようとしすぎるところがあって、何か重要なニュースが飛び込んでくるのではないかと気になり夜眠っている間にも目が覚めてしまう。そんな時もしばしばで、まるでバズに憑りつかれたかのような日々を送っていたのです。

心のなかの何かがチリチリとすり減っていくのを感じつつも、いいねやリツイートの数から得られる刺激が脳内でドーパミンの分泌を促し、異様な興奮となって身体をデスクの前へと繋ぎ止める。たまたま誘いがあり転職という形でその仕事からは離れたものの、張り詰めた緊張の糸が切れ、いつ限界を迎えてもおかしくない状況だったと今でも怖さを覚えています。

一応誤解のないように言っておくと、これはオンとオフの切り替えが不得意な自身の側の問題で、多くの学びが得られた貴重な経験であったことも事実です。その話もどこかで詳しくできたらとは思っていますが、ねこかにクラブの名前に戻りますね。

転職のタイミングで在籍していたメディアから離れるにあたり、その後もゲームについての情報を発信していきたいという気持ちから、個人サイトを立ち上げようとドメインを取得することにしました。そこで何かしらのネーミングを考える必要に迫られ、冒頭で挙げた記事の存在を思い出したのです。

簡単に説明すると、2021年に媒体で反響の大きかったインディーゲームをランキング形式で紹介する内容の記事で「ネコのゲームとカニのゲーム、それからホラーゲームがバズりやすそうだ」とオチをつけたのですが、ねこかにクラブの「ねこかに」はここから着想を得ました(ホラーは苦手なので除外)。「ねこかに」だけではやや物足りなさもあり、「クラブ」が続いていたらカニ(crab)と似ていて間の抜けた響きが文字でも音でも楽しいだろうと思ったのですが、狙い通り伝わっているでしょうか。

一方で、ここにはある種の戒めのような意図も込められていて。バズから生まれたキメラのごとき名を冠することで言葉に対する向き合い方を律するというか、拡散されやすい強いワードを安易に使ってしまいがちな自分に「果たしてその選択は正しいのか?」と常に問いかける状態を課したいと考えたのでした。もしも愛着を育んでくれていた方がいたらショックを受けるかもしれませんが、ねこかにクラブは名前にバズ至上主義の原罪を負って誕生しているのです(本当に罪かどうかは解釈が分かれるところだと思いつつ)。

それから月日は流れて現在。これが実際に抑止力を果たしているのかといえば、ある程度は効果的に機能していると感じています。しかし無数にある言葉の選択肢のなかから何を選び取るか、悩んだ時にはふとバズワードを使いたくなる誘惑に駆られてしまうことだって全くないとは言えません。心が動いたゲームを紹介する際、もっと多くの人に届いてほしいと祈る気持ちをどこまで純度を保ったまま伝えられるか。そんな葛藤を振り払うために、個々の作品と向き合う時間の一瞬一瞬を大切にしていきたいと改めて思ったのでした。これからもねこかにクラブを温かく見守っていただけると幸いです。

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